【メガスタ】May Day
ONEのDスタ→メガスタというか、スタ視点のD16成長譚。
ONE鑑賞2日後に鉄を熱々の内に打つべく書いたため、読み込みが甘いかもしれません。ご容赦ください。
こちらで完結していますが、もう少しその先の妄想を書き下ろしで加えて本にしてます。
50サイクル前。運命のあの日。
俺達ハイガードは全員、センチネルの裏切りの目撃者となった。
背後からプライムたちを次々に屠る卑劣なセンチネルと、それに続くクインテッサ共。俺達はその光景をただただ見つめていた。
ああ、本来ハイガードはプライムを守る役目を担っている。職務を全うしたならば今頃みんな、プライムとともにこの地で錆びつき伏していただろう。
そうならなかったのは、ひとえに隊長である俺が部下共を制止したからだ。
なぜってどう計算しても間に合う距離ではなかったし、闇雲に突っ込んだところで無駄死にするだけ。ならば機を見計らってサイバトロンいちのエース部隊である俺達が、裏切り者のセンチネルをクインテッサもろとも打ち倒したほうが良い。
機を見計らって……そうこうするうちにあっという間に50サイクルもの歳月が経っちまった。
もともとハイガードは良くいえば選り抜きの実力者集団、悪くいえば力の有り余った荒れくれ者集団だ。当然、この50サイクルの間に幾度となく隊長である俺に歯向かう者が現れた。
だがそんな連中が現れるたびに俺はひとり残らず力でねじ伏せてきてやった。ハイガードは完全実力主義だ。力ある奴が正義。力あるリーダーが敵を打ち砕く。
俺は下剋上を目論む奴らに何遍だって語って聞かせてやったもんだ。
「リーダーの座が欲しいならいつでも何度でもかかってこい! だがな、良いか。忘れるな。俺達が憎むべき相手は裏切り者のセンチネルだ! センチネルの築いた馬鹿げた地下帝国の連中だ! この憎しみを糧に俺達はなにがなんでも生き抜くんだ!!」
こうして俺達はエネルゴンを失って以降荒廃した地上で、クインテッサ共の気まぐれな攻撃をかわしつつ、貢物を運ぶ列車からセンチネル親衛隊の目を盗んでわずかなエネルゴンを奪いながらなんとか今日まで生きながらえてきた。
そうして今日。俺の天下は終わりを告げた。
新たなリーダーにとって代わられる形で。
俺を負かしてハイガードの新たなリーダーとなったのは、センチネル政権下で生まれた労働者の若造だった。
後から聞いた話によると、生まれてすぐにセンチネルからコグを抜かれたらしく、俺と対面したときはアルファトライオンからコグを与えられたばかりだったらしい。
マジかよ。俺はそんな生まれたてのガキに負けたってのか。
だがそんな悔しさを凌駕する程の魅力をその男、メガトロンは有していた。
奴は拘束された状態であっても、決してセンチネルに屈しなかった。
時期が悪い、今ではないと言い訳を繰り返してきた俺とちがい、奴は何度も何度も何度も立ち上がり、センチネルに挑みかかった。
クーデターに決着をつけた末。奴は、メガトロンは俺たちに向かって高らかに宣言した。「俺が新たな未来へ導く」と。
50サイクルものあいだハイガードが、俺が掲げてきた「打倒・センチネル」の目標はメガトロンによって達成されたわけだ。
さあ、その先は?
新たな未来はどこを向いている?
俺はたしかに、演説するメガトロンの背中にかつて憧れたプライムたちの、メガトロナスの姿をみた気がした。
マトリクスが選んだ新たなリーダーはメガトロンではなかったようだが、そんなことはどうでも良い。マトリクスの復活によってサイバトロンにエネルゴンが蘇った。ならばセンチネルの色に染まった悪趣味な地下都市になんの未練もない。
それよりも俺は新しいリーダー・メガトロンの描く新たな未来とやらが見てみたかった。
「オール・ヘイル・メガトロン!」
何度でも言うが、ハイガードは完全実力主義。それは組織の名が「ディセプティコン」になろうが変わらない。
一瞬でも腑抜けた姿を見せたら。メガトロンの描く未来に失望したら。
リーダーの座は俺が必ず奪い返してやる。
さあ、お手並み拝見だ。
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